暗殺、天使、絵

いつのことだったか。
青い月の夜に君は突然現れた。
とても弱くて寂しい君は、助けを求めて僕に手を伸ばす。
僕はその手を取った。

求められるまま言葉を落とす。
今日はどんな言葉を贈ろうか。
どんな言葉で君を飾ろう。君を揺らそう。

ねえ君。笑ってくれるかい?

油絵のように重ねられていく言葉に、少しまた少しと表情を変えていった。
ああ、君はどんどんと強く、美しくなる。

身を潜めて少しずつ距離を縮める。
あと少し、もう少し。
心臓の音が煩い。……気がした。
本当はもう心音などしない。
一生分の鼓動を使い果たしたのだ。
僕はとうに射抜かれていた。

 

天使のようで、小悪魔な君。

 

 

https://3dai-yokai.tumblr.com/first