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気まぐれ

甘い、

恋とはどんなものだったかしら。あんなにも好いていた男は、まるで枯れた木のようになってしまった。あんなにも好いていた男は、もう輝きを失ってしまった。色褪せてしまった。寂れてしまった。そうさせたのは私だろうか。それともただ、私が変わってしまっ…

「I」

愛してるあいしてるアイシテル 戯言のように繰り返される、それは。 仕事帰りに買い物を済ませて家に帰る。少し萎びて安くなった野菜や、派手に30%offと貼られた肉。それらも鍋に、フライパンに、切って落とされれば皆同じだ。料理上手とは言えない私の、切…

腕に咲く花

涙が止まらない。腕を殴り付ける。涙が止まる。また、涙が出る。また、腕を殴り付ける。また、涙が止まる。 何度繰り返しただろう。浴室でひとり。暖かな日差しも優しい月の光も届かない。何もない、誰も居ない。嗚咽を漏らして吸い込んだ白い湯気にむせる。…

あたたかな匣

バスタブにお湯を張りながら、そのゆらゆらと揺れる水面を眺めていた。湯気の立つ水に手のひらを浸せば、なるほど、温かい。それからずっと、お湯が溢れるまでそうしていた。 ザアア……。流石にまずいと湯を止める。そのまま、服のまま。バスタブを跨いで、中…

赤く染まる

※気分を害する可能性があります。 鈍く光を反射する赤銅色の河の真ん中で、わたしはずっと立っている。ずっとがどれくらいずっとかは、とっくのとうに忘れてしまった。赤い水は膝より少し低い所まであり、お誕生日の真っ白なワンピースが赤く染まらないよう…

氷の君

薄く張った氷のように、私の表面には壁があるらしい。透明だけれど確かに存在していて、薄いくせに冷たくて固いのだとか。簡単に壊れてしまいそうで、ずっと在り続けるそれは、私の一部と言えるのか。「世間」に貼り付けられた印象なのか。 ぺたりと自分の頬…